みうとうみ               ~運命の出会いは突然に~
「あれ、じゃあ……〝みうとうみ〟だ。上から読んでも下から読んでも一緒……」

 大洋は、カウンターに置いてあったメモ用紙に雑な字で何かを書きつけた。

「ほら、〝みうとうみ〟。上から読んでも下から読んでも一緒」

 それから、わたしの顔を覗き込んでにっこり笑った。

「やっぱ、運命なのかな。おれたちが出会ったのは」

 運命? 2人が出会ったことが?

 ズキっと、また胸が痛いほど高まった。

「なに、ばかなこと言ってるのよ」
「つれないなあ、美羽さんは」


 それにしても、さっきから、どうしちゃったんだろう。わたしは。

 こんな戯言(ざれごと)にどぎまぎするなんて、どうかしてる。

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