みうとうみ               ~運命の出会いは突然に~
「実はさ、ちょっと仕事で嫌なことがあって、最近だいぶ落ち込んでたんだ。でも、映画観てスカッとしたよ」

「めずらしいね。大洋が仕事の愚痴を口にするなんて」

「そうかな」

 

 そのとき、一瞬強い風が吹いた。


 ライトに照らされた桜の花びらがはらはらと散った。

 思わずそちらに目を奪われたとき、大洋がわたしの髪に触れた。

 はっとして振りかえると、花びらを手にしている。
「髪についてたよ」と言い、花びらをつかんでいた親指とひとさし指をゆっくり開いた。

 まるでスローモーションのように宙を舞うひとひら。

 大洋はしばらくそれを目で追っていたけれど、それからゆっくりとわたしのほうに目を向けた。


「映画もだけどさ。美羽さんのおかげでもあるな。美羽さんといると、ぜんぜん肩がこらないって言うか、とってもリラックスできるんだ、いつも」

「そう……なの?」

 急にシリアスな表情になった。そんな顔をされるとちょっと困るんだけど。

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