みうとうみ               ~運命の出会いは突然に~
 仕事か……。じゃあ仕方ないな。

 でも会いたいという気持ちが膨れ上がっていたから、なかなか切り替えられない。

 我ながら本当に大人げない、と自分を戒めた。

 今日は家に帰って1人でワインを開けるか。
 大洋には、また明日連絡してみよう。

 
***

 家に帰り、ベランダに出て洗濯物を取りこんでいると、下の通りを歩いてくる人影が見えた。
 まだ日が沈み切っていない時間だったので、それが大洋だということがすぐにわかった。

 えっ、どうしたんだろう。仕事が早く終わって誘いに来たとか?

 そんなわけないだろ、と自分でつっこみを入れながら、急いで洗濯物を抱えて部屋に戻った。

 連絡もせずに家に来るなんて変だなと思いながら、お湯でも沸かしておこうとかキッチンに向かった。

 やかんに水を入れていると、カン、カン、カンとアパートの階段を登る足音が響いてきた。
やっぱり来た!

 今か今かとドアがノックされるのを待っていた。

 
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