みうとうみ               ~運命の出会いは突然に~
 でも、こんな夜中にうるさくされたら近所迷惑になる。

 わたしは近くにあったウインドブレーカーをつかんで、袖を通しながら玄関に向かった。

 扉を開けると、大洋は通路の鉄柵に寄りかかっていた。
 というよりしがみついていると言ったほうが正解か。

 かなり酔っている。
 そして、今まで見たことがないほど憔悴した顔をしている。
 それに、傘を差していなかったらしくて、全身ずぶ濡れだった。

「こんな遅くにどうしたの? そんなに濡れて……」

 大洋はよく聞こえないほど小さな声で言った。
「ごめん、迷惑ってわかってんだけど、どうしても顔が見たくて」
「……」


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