みうとうみ               ~運命の出会いは突然に~

 好きな男にそんなことを言われたら……

 普通なら天にも昇る心地になるはず。

 でも、そんなことが少しも思い浮かばないほど、この日の大洋の様子はおかしかった。 

 わたしはバスタオルを取ってきて、大洋に手渡してから言った。

「とにかく入って。お茶入れるから」

 先に大洋を通して、扉を閉めた。

 大洋は靴を履いたまま、タオルを頭からかぶって、玄関の壁に寄り掛かっている。

「ほら、靴脱いで……!」

 次の瞬間。
 突然、手首をつかまれて抱き寄せられていた。

「な、なに……」

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