snowscape~彼と彼女の事情~
「旬、おせ〜って!!しかも、なんでそんなきまってんの?白いコートが似合うのはお前くらいだろうな」
俺のことを下から上まで眺めると隼人は不満足そうにタバコに火をつけ窓から煙を吐きアクセルを強く踏んだ。
「つーか、お前のせいで面倒くさいことばっかだよ」
「なんで?茉莉チャンやばいの?」
「やばいもクソも…そもそもなんで俺がお前の女だかなんだか知らねぇ〜けど便乗しなきゃいけないんだよ!!」
コートから取り出したタバコを口にするとおもいきり吸い込み隼人の方へわざと煙を吐き出した。
「その怒りなら徹(とおる)にぶつけてくれる?ドタキャンしたのはアイツだから」
「徹かよ?アイツがドタキャンする用事なんかあるのかよ」
「なぁ〜っ」
「なぁ〜じゃねーよ」
隼人は昔からの幼なじみだ
物心着いた時にはいつも一緒で、隼人の母親と俺の母親は親友で、
とても仲良くて……
なのにいつからだろう、隼人の母親と俺の母親が憎み合ってしまったのは……。
だけど隼人と俺はずっと仲良しだった。
一人ぼっちで寂しい時もいつも傍にいてくれた幼いながらにも俺の支えだった
だからこそ隼人は俺の事をなんでも知っている。
弱みも強さも……
事情も全て……
「ま〜いいじゃないか!たまにはパ〜っとさ」
「うっせ!!」
だからこそ、コイツの頼みは突き放せない俺がいる
別に過去に恩をきせている訳じゃなく……
俺がしてやりてーだけ
「つーか俺のお気にの女に手ぇ〜出すなよ?」
「はっ?誰が……」
「旬が……」
「じゃ、帰る!ここで降ろせ」
「うそ!うそ!!うそっ!!!ごめんって……」
焦りながら手を合わせて謝ってる隼人に「事故るよ?」と前を指さし冷静に言うと
「やっべ〜信号無視だ!」とキョロキョロしながら交差点を物凄いスピードで通過した。