snowscape~彼と彼女の事情~
「あっ!!やべぇ~亜紀チャン先に待ってるよぉ~!!」
パーキングから少し歩くと、隼人は小走りでカラオケ屋の方へ近づいてる。
「……ったく、アイツは」
ほんと、寒くなったもんだとポケットに手を突っ込むと「マジ、ごめ~ん!!」と隼人の声が響いている。
ゆっくり歩きながら隼人の後ろで足を止めると「こんばんわ♪初めまして亜紀で~す!!」と高いテンションで俺に笑顔を見せた。
「どうも」
軽く頭を下げると、横から「コイツは旬!!大学生じゃないけどね」なんて勝手に俺の自己紹介をし始めだして、
隼人たちは、すぐに息統合していて話に盛り上がって完全に二人の世界に入っている。
その二人の隣に、ひょこんといる一人のありえねぇ~くらいに小さい女の子が俯いているのが目に入る
亜紀チャンの友達なんだろう
しかし、この空気は気まずいだろ……。
俺が話しかけんのか?
しかし、ちいせぇ~な……
そんなことを考えていると、ふと顔をあげ、その顔つきはふくれっ面で、機嫌の悪さを物語っていた
だけど、それよりもおもしろいことに顔を上げた女の子は白いマフラーをグルグル首の周りに巻きつけていて、もはや顔の部分まで覆うとしている。
元々小さいであろう顔がもっと小さくて子供みたいだ。
「今の女子高生はおもしれぇ~巻き方してんのな」
グルグルと巻きつけられたマフラーに手をかけると「えっ、あっ、あの……」とびっくりした様子で俺を見つめていた。