snowscape~彼と彼女の事情~
「お前なぁ、友里チャンびっくりしてんじゃね~かよ!!そうやってきやすく触んねぇ~の!!女いるぶんざいが……」
「あ?友里?」
「そう、亜紀チャンの友達の友里チャン、ほらびっくりして固まっちゃっただろ」
隼人に言われて、慌ててマフラーから手をはなし、目線を下げるとどうやら本当にびっくりしたのか俯いている。
今時、少し触れたくらいでびっくりする子なんているのか?
……とも思ったが、目の前にいるこの娘を見る限りありえるのかもしれない。
「おっ、わりぃ~!んな変なつもりで手出ししたわけじゃねぇよ?ただ首が埋まってたから苦しくねぇかな?って」
「あっ、いや、全然っ、平気です」
顔を覗きこむと、それも反らされて目線すら合わせてくれない。
「なぁ~に隼人クン、友里は大丈夫だよぉ!!ね?友里っ♪」
「え?あ、うん」
「それより、早くカラオケ入ろう!!寒い~!!」
亜紀チャンが、意味ありげな視線を友里チャンに送り隼人に身を寄せると咄嗟に友里チャンの顔が赤らめていくのが分かった。
そして、隼人も同じように顔を赤らめている。
なんだ?コイツら……。
そして、なんだこの空気……
店の中へと先頭に歩く、隼人を亜紀チャンに続いて
友里チャン、俺と続いている……
俺は、この場所に来てしまったことに深く後悔をしたと同時に徹に異常な怒りがこみ上げてきていた。
あ、忘れていたがその前に隼人の野郎……
いい人、固い男のふりをしやがって……
みんなが店員の前で部屋を決めている間、近くにあったいすに腰をかけタバコを取り出すと深く肺に入れ、ゆっくりと吐きだした。