snowscape~彼と彼女の事情~
「こうゆうの好きで……」
突然何を言い出したのかと思えば、携帯を見つめた後に俺に笑顔を向けた。
その笑顔の理由は、友里の持っているキラキラにデコっている携帯……
「そうなの?だってすげ~もん、それ……」
女の子って好きだよな……と一瞬だけ友里と同じように携帯をデコっている茉莉のことも浮かんだがそれはあっという間に俺の頭の中から去っていった。
「結構時間がかかるんですけどね」
笑顔から苦笑いに変わった友里の手からそれを奪うと、俺はその携帯を見つめた。
いや、これは芸術だろう……
ひとつずつ綺麗に並べられたキラキラしているものがギッシリと詰まっている。
隙間すらないほどに……
「可愛いな」
そう言いながら友里の元へと返すと「あ、どうも……」と再び顔を赤らめている。
「おい、そこの二人っ!!いつの間にそんなに仲良しになってんだよ~」
間に入ってきたのは、お調子者の隼人で……
「全くぅ~友里も隅におけないんだから~」
なんて後から口出ししてきた亜紀を見て、心底二人はお似合いだと確信した。
そもそも、お前ら二人が俺たちの存在を忘れているからこんなに努力している俺がいるんだよ!!
と思ったが今日はプレミアな女の子と話ができただけでも貴重なのだろうと、自分に言い聞かせているこれまた不思議な俺もいたりした。