【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた
どうしようもなく心が柔らかくなっていく。
気が付けば、知らず知らずのうちに彼の髪を撫でながら微笑んでいた。
どうしてだろう…こんな気持ちになるなんて。 色々な彼の一面を知って、まるで自分が真っ新に生まれ変わった様に優しい気持ちになれるの。
頬杖をつきながら彼の寝顔を見つめていると、ガサゴソと何かが動く気配を感じた。
どうやら扉の方からひそひそと声がする。
「ちょ……ッ!真白ちゃん押さないでよッ?!」
「朱莉の方こそ静かにしてよ。声が聴こえちゃうじゃない!」
大きな物音がして、扉が開く。 真白が前のめりになって倒れていて、その上を朱莉と藍が乗っかる形になっている。
秀人さんまでその後ろで部屋を覗き込んでいた。
…全く父親まで何覗き見なんてしてんのよ?! そう思った瞬間、碧人さんが小さな唸り声を上げて目を覚ました。
「ウーン……何だよ、うるさいなあ…。って、真白達何やってんだ……」
「そうよ!部屋を覗き見するような真似して、趣味が悪い!」