【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた
「今日姉ちゃんと碧人さんが来るのを楽しみにしてたんだ。
どうぞどうぞ上がってください」
七年ぶりに帰って来る我が家は、どこか懐かしい匂いがした。実際は十年も住んではいないのだが
リビングに入ると父がソファーに座っていて、継母がキッチンに立っている。 当たり前だけど、この人も歳を取ったものだ。
「桃菜ちゃん、久しぶりね。 まあ、素敵な男性を連れて来ちゃって。 子供だった桃菜ちゃんがいつの間にか大人になっていたのね。」
「おばさん、本当にお久しぶりです……」
初めて父が連れて来た時は、どう見ても母親には思えなかった。
そんな継母も年相応に歳を取っていて驚いた。
私はこの人と折り合いが合わなくて、互いにずっと苦手あっていたと思っていた。
私は継母を受け入れられなかったし、この人も私をどう扱っていいのか分からなかったと思う。
だから今日穏やかな笑顔を向けられて、さっき拓斗に感じた気持ちと同じ気持ちになったのだ。
「小早川碧人と申します。今日は突然訪ねてしまって申し訳ないです。
これお土産なので、皆さんで召し上がってください」