【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた
碧人さんお得意の営業スマイルに、継母は嬉しそうに微笑んだ。
父は複雑な顔をしていたが、どうやら私が結婚する男性を連れて来たとの事で豪華な料理を用意してくれていたみたいだ。
それには少し胸がジンとした。
はじめこそ気まずい空気が流れたが、碧人さんが雰囲気を良くしてくれて、拓斗も場を盛り上げようとしてくれた。
父の顔にやっと笑顔が戻ってきて、先ほど見せた涙が嘘なんじゃないかと思う程和やかな時間が流れた。
「へえー、拓斗くんの大学俺と同じだ」
驚く事にいつの間にか大学生になっていた拓斗は、碧人さんが卒業した大学に現在通っているらしい。
「でも碧人さんは高校からなんでしょう?すげーや、優秀じゃん。
それにボヤージュで働いてるってすごいじゃないですか
マジで姉ちゃんエリート捕まえて玉の輿だね!」
「もう拓斗ったら、そういう事言うんじゃありません!
でもすごいわあ、碧人さん。ボヤージュは一流企業だからお仕事も大変でしょう?
まさか桃菜ちゃんも今ボヤージュで働いてるのにはびっくりしたけどね」