【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた
柔らかい笑みを浮かべたままそう言った碧人さんに、父は心底ほっとしたような安堵の表情を浮かべる。
’太陽のようだなんて’ 絶対思ってないでしょう?!
思わず突っ込みたくなったけれど、この和やかな雰囲気を壊したくないから、碧人さんの隣で黙っている事にする。
碧人さんが家族から気に入られるなんて想定内の事。
人間関係の構築が上手で、誰からも好かれるタイプだからだ。
父は彼の話を感心しながら聞いていて、継母はとびきりに機嫌が良さそうだった。 私は正直この人がどういう人かなのか興味もなかったし、知ろうとも思っていなかった。あっちだってそうなのだと疑わずに信じていた。
けれどこんな風に楽しそうに笑う人だったとは…。それは碧人さんの会話のリードが上手だったのかもしれないけど。
拓斗も拓斗で大学の話で碧人さんと盛り上がっていた。
そうやって和やかな時間が過ぎて行った。 碧人さん一人がいるだけで、あんなに窮屈だった実家の雰囲気が変わるなんて。
「今日は本当にご馳走様でした。 皆さんとお話出来て楽しかったです。
これからの日程も追って連絡させて頂きますね」
「ええ、こちらこそ楽しかったです。 本当に時間があっという間だったなあ。 」