【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた
思わずひやりとして碧人さんに訊ねると、彼は小さく笑いながら私の左手を取る。
そして指輪にキスをした。
「だいじょうぶ。 これでもお前の大好きなエリートだから。
それに金も無駄遣いしないで貯めているから。
でも俺は、それでも普通の社員だから、伊織のように、とは言えない。
真凛さん程裕福な暮らしは桃菜にさせてあげられない。
だけど、いつでも桃菜が笑っていられるようなささやかな幸せはあげ続けたいと思っている」
碧人さんの言葉に、じんわりと涙が滲んだ。
そんなの、すごく贅沢な話だ。
私、碧人さんとずっと側にいて、小早川家で笑って過ごせていければ充分なんだ。
それでもあなたはいつもそれ以上の幸せをくれようとする。
「桃菜、俺と結婚してくれ」
「もちろんっ!!」