【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた

そんな瀬能さんは秋からmarinの新店舗に転勤になる事が決まった。

碧人さんと結婚する事は職場内の碧人さんファンのパートのおばちゃんにも知れ渡ってしまったが、からかわれながらも人間関係はうまくやっている。

と、いうか自分でも丸くなったのを感じる。  これも全て碧人さんのお陰だったかもしれない。

碧人さんはほんの少し優しくなった。 いや、前から優しい人ではあったのだけど
しかし一応夫婦という形になっても私達の関係に大きな変化はなかった。
けれど何気なく過ごす毎日が幸せだという事を私はもう知っている。

台所から茶の間を見回すと、今日も小早川家は騒がしく笑顔で溢れている。
振り向けば、そこにあるのはずっと求めていた光景。
家族の形。

私の視線に気が付いた碧人さんが、ゆっくりとこちらへやって来る。
料理をしている私の横に立つと柔らかい時間がゆっくりと流れていく。
< 256 / 258 >

この作品をシェア

pagetop