【新装版】BAD BOYS
部屋に響くのはやけに生々しい音と呼吸だけで、仕掛けてるのははなびなのに、余裕がないのも彼女の方。
だけど拙くても一生懸命求めようとしてくれる姿に、すっかり視線を持っていかれる。
「っ、」
「ん……いいよ。よくできました」
残念なことに、恋愛に経験がなくとも女の子と過ごした回数は『花舞ゆ』の誰もが認めるほど。
まったくもって褒められたことじゃねえのは、理解してるんだけど。
理性を飛ばさずにさえいれば、基本は耐えられる。
その境界線ギリギリのところで煽られたら、俺も余裕をなくすだけで。
「……ばか」
真っ赤になって顔をうずめてくるはなびに、「ごめん」と謝って髪を撫でてあげる。
だけど、謝る気あるの?と思われそうなくらい、頰はゆるんでいて、俺は上機嫌。
「……付き合う前の方が健気でかっこよかったのに」
ぽつっと、はなびがこぼした言葉。
それにわずかに肩が揺れるのは、少なからず自覚があったからだ。はなびと付き合う前の俺は、はなびを手に入れたい独占欲と、他の男への嫉妬と。
それなりに感情を出す機会も多ければ、当然余裕もなかった。
たしかにあの頃の方が、健気ではあったと思う。
「……いまの俺は嫌い?」
「嫌いじゃないけど、憎たらしい……」
「はは、俺よく憎たらしいって言われんだよね」
いろんな子に、と。
言えば「そういうところが憎たらしいの」と口にする彼女。ごめんな、それも自覚あるわ。