わけあってイケメン好きをやめました
 昨夜はまた眠れなかった。朝方に二時間くらい寝ただけ。
 徹平くんと別れるとき、決して涙は見せないようにしようとか、いろいろと考えていた。
 元気でね。仕事がんばってね。今までありがとう。この三つは最後にきちんと伝えたい。

「さて、今日も今日とて仕事をがんばろう!」

 恋愛がダメになっても、私には仕事がある。
 仕事に集中していれば気が紛れて、必要以上に落ち込むこともない。
 今までずっとそうしてきた。私なりの対策だ。


「堤、どうした?」

 時刻が十六時に差しかかるころ、デスクでこめかみに手をやっていると、通りかかった虹磨さんから声をかけられた。

「すみません。頭が痛くて……」

 なぜか先ほどから頭痛がしてきて、集中力が低下している。
 胃がなんとなくムカムカするのは、今日も食事をとっていないからだろうなと想像できた。コーヒーは控えていたのだけれど。
 でも頭痛の原因は……ああ、睡眠不足か。

「早退したらどうだ?」

「大丈夫です。ちょっとドラッグストアで薬を買ってきますね」

 椅子から勢いよく立ち上がったのがいけなかったのだろうか。
 ぐるぐると回転するように視界が大きく歪んだのがわかり、再びポスンと椅子にへたり込んだ。

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