異国の地での濃密一夜。〜スパダリホテル王は身籠り妻への溺愛が止まらない〜
「真緒……ここに、ここに俺たちの子供がいるかもしれないのか……」


 ギシリとベットをしならせ座る彼は大きく広げた手のひらで優しく私のお腹をさすってくれた。総介さんはもしかしたら私が妊娠している事に喜んでくれているのだろうか? その行動が余りにも嬉しくて、愛おしくて私は無意識に彼の頭を撫でていた。


「まるで俺が子供みたいじゃないか。でも頭を撫でられるのは嬉しいもなんだね」
 

 ハハッと照れ隠しに口角を上げて笑う彼が愛おしい。 


「真緒」


 穏やかだった空気がガラリと真剣な濃い空気に変わった。彼の真剣な眼差し、その真剣な眼差しが私に向いているという事が嬉しくて、私もしっかりと彼を見つめる。
 

「結婚しよう。真緒もお腹の子も絶対に幸せにする。君のお母さんに許しがもらえるよう努力もするし、何度だってお願いしに行くよ。真緒と離れるなんて考えられないんだ。出会ったばかりのオジサンが何言ってるんだって思うかもしれないけど俺は初めて会ったあの日から真緒に惹かれていたよ。結婚……してくれますか?」


 身体の奥底から込み上がる感情が留まらない。
 

「っつ……私なんかでいいんですか? 総介さんよりずっと子供で、一度は貴方から逃げたんです。ッつ……はっ……」


 言葉と同時に溢れ出す涙を止めることが出来ない。想いを伝えたいのに涙に邪魔され息が切れる。
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