異国の地での濃密一夜。〜スパダリホテル王は身籠り妻への溺愛が止まらない〜
 土地勘の無い私は家に向かっていると思っていた。「着きました」と長谷さんに声をかけられ、窓の外を見るが見た事ない景色が広がっている。高いビル、いや、ホテルだろうか? 


「あの、長谷さんここは?」


「ご自宅にお送りする前にこちらに寄るように言われましたので、さぁ、こちらにどうぞ」


 開けられたドアから恐る恐る足を下ろし長谷さんの後をついていく。言われたって総介さんにだろうか? そんな事言っていなかったような気もするが何だろう。


 大きなガラス扉が自動で開き、広いロビーの真ん中にあるフロント受付には「ブラックグローリーホテル」と書いてある。


(あ、総介さんのところのホテルなんだ……)


 初めてきた総介さんのホテル。ウィーンでもブラックグローリーホテルに泊まったが何せ状況が状況だったのでほとんどロビーの内装とかがうろおぼえだ。
 真っ赤な絨毯が広がるラウンジの上を見渡せば昼間でもキラキラと煌びやかなシャンデリア。見るからに高そうな椅子とテーブルのセットが何セットも置かれコーヒーを飲んで休憩してしている人や、ケーキを楽しんでいる人がチラホラいる。なぜ自分がこんな優雅でラグジュアリーな空間に連れてこられたのか分からない。きちんとした服装の人達の中私は検診で脱ぎやすいようにロングパーカーワンピースと思いっきりカジュアルな格好だ。極め付けはスニーカー。場違いな自分の身なりに恥ずかしさが隠しきれない。
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