異国の地での濃密一夜。〜スパダリホテル王は身籠り妻への溺愛が止まらない〜
えっと、これはドラマなんかでよく見る小切手ってやつだろうか。それを私は今突き出されている?
お金が欲しい? この人は何を言っているんだろう。身体が闇に飲み込まれたようだ。動かない。
「お嬢さん、総介と一緒になると言う事はこのグローリーホテルを一緒に支えていくことになる。それが君にできるかな? その覚悟はあるのかね」
覚悟――
私は総介さんと一緒になると決めた時に覚悟を決めた。けれどそれは私が思っている以上に凄い事のような気がしてきた。ジィッとお父さんに見つめられ、まるで自分を値踏みされているようだ。チクチクと身体に視線という名の矢が刺さる。
でももう私は後戻りはしない。総介さんと一緒に頑張ると決めたんだから。それに片親だからお金が無くて必要かと思われているのも心外だ。あの言い方だとお金が必要かだから総介さんと結婚しようとしていると思われている気がする。そんなわけ無いのに、私は私の意思で彼と一緒に生きていきたいと、お腹の子を大切にしたいと、べつにお金持ちだろうと、貧乏でだろうと、私は総介さんだから結婚したいのに。
でもなんだろう、凄く睨まれているはずなのにお父さんからは何故か優しい雰囲気を感じてしまう。総介さんと背格好が似ているからなのだろうか。