異国の地での濃密一夜。〜スパダリホテル王は身籠り妻への溺愛が止まらない〜
 よく晴れた日曜日。ピッと爽快な電子音。行く人の殆どが交通系電子マネーで改札を颯爽と通っていく。私は昔ながらの切符を片手に握りしめ改札を通った。
 何年振りかも分からないくらい久しぶりの電車。行く先は勿論東京だ。揺れる車内、女の人の香水、男性特有の匂い、なんだかムシャムシャおにぎりを食べている人も、色んな匂いが混ざり合いマスクをしていても吐き気を誘ってくる。
 気を紛らわそうとイヤホンを耳につけ音楽を流した。もちろん吹奏楽、気分を上げる為にサックスのソロがカッコいいノリノリの曲「宝島」を選曲。
 電車アプリを何度も確認しながらやっとの思いで東京までたどり着いた。
 

「都会って凄……」


 東京駅の長い通路を流れるように歩く人達に流されながら目的地まで歩いた。


「き、緊張するな……」


 今日はちゃんと服装も綺麗目な格好をしてきた。小花柄の黒のワンピースに防寒の為黒のレギンス。ベージュのコートを羽織り、御守りがわりにあの日ウィーンでもつけていたバレッタで今日もハーフアップに髪をまとめてきた。
 赤い絨毯の上、綺麗なシャンデリアに見下ろされながら相手が来るのを待つ。緊張から何度も溜息が口から漏れては目を瞑り心を落ち着かせる為に深く息を吸い直した。
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