異国の地での濃密一夜。〜スパダリホテル王は身籠り妻への溺愛が止まらない〜
「お嬢さん、お待たせしてすまなかったね」


 低くて渋い声。瞑っていた目をパッと開けると目の前には総介さんのお父さんが優しい表情で立っていた。今日はあの後ろにいた体格のいい男の人達は居ない。
 私は急いで立ち上がり咄嗟に頭を下げた。


「あっ、すいませんっ! きょ、今日はお呼び出しして申し訳ございません。本当は私から連絡しなくちゃいけないのに連絡先を知らなかったので長谷さんにお願いしてしまいました。あの、そのっ」


「大丈夫だから、頭を上げなさい。私もお嬢さんともう一度会いたいと思っていたところだ。さぁ、座ろう。飲み物はコーヒー……はカフェインが入っているから駄目か。オレンジジュースとかでいいかね?」


「はいっ、大丈夫です」


 なんとも言えない緊張が張り巡らせているような、それでも穏やかな、不思議な空気に息が、言葉が詰まる。


「あの、今日はお義父様ともう一度お話をしたくて。その、総介さんとの結婚を認めて欲しくて……」


「あぁ、実は私もその事で話があってね。金額は考えてきてくれたかな? それとも私が勝手に決めてしまっていいだろうか?」


「いやっ、私本当にお金なんて要らないんです! ただ彼と、総介さんと一緒にいる事を、隣にいる事を許して欲しくて……」


 膝の上に置いていた手のひらをグッと握りしめる。

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