クールな社長は政略結婚したウブな妻を包容愛で満たす



寄せては返す波は、何時間でも見ていられそうな気がする。

大きい波もあれば小さな波もある。

同じ瞬間で、こうも変化にとんだ姿を見せるのか。



海は好きだ。いつ来ても、心がまっさらになる。



あの子は小さな手を上手に使って、何を拾っているのだろう。

砂浜の上に、何か気になるものを見つけたのだろうか?


「おとーしゃん、これなに?」


息子の『これなに?』が始まった。
近頃、気になるものの名前や、何に使う物なのか果てしなく質問攻めにあう。


「どれ?」

柊哉は息子の側に歩み寄った。砂浜に小さな足跡と大きな足跡が重なる。


「これ!」

「貝殻だ。」
「かいがら?」

「貝の説明は…難しいから、お母さんに聞け。」
「おかーしゃま?」

「そうだ。お母さんが教えてくれる。」
「そうなの?」

小さな手に、薄いピンクの貝殻を掴むとポケットに入れようとしている。
すでにわけの分からない小さなものでポケットは一杯だ。


「そろそろ帰ろうか?」
「あい。」
「おうちに帰ろう。」


柊哉は小さな息子の手を取った。

「抱っこ。」

「甘えんぼだなあ、お前。」

「抱っこ。」


ひょいと、柊哉は息子を抱き上げた。
視界が広がって、息子はご機嫌だ。




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