「お前は一人でも大丈夫」ですって?!~振る際の言葉にはご注意下さい。

「そろそろ来る頃だと思うのですが……」

 磯田が話し終わる前に、社長室にノック音が響いた。社長室にいた三人の視線が、ノックが鳴った扉へと向く。

「噂をすればですね。社長良いですか?」

 千夏が頷くのを確認して、磯田が扉を開けると、そこには千夏の知る人物が立っていた。

「はっ……陽翔くん!!」

 声を上げて驚く千夏を一瞥し部屋に入ってきた陽翔は、余裕の笑みを見せると頭を下げた。

「本日より秘書課に配属となった如月陽翔です。よろしくお願いします」

 この時、初めて陽翔は自分のに名字を名乗った。

 しかし、それは千夏の耳に届いていなかった。急にいなくなった陽翔が突然目の前に現れ、驚きすぎて頭が追いついていなかったのだ。

 挨拶を軽く済ませた陽翔は一礼すると、磯田に仕事を教わりながら部屋を出て行った。


 陽翔くん……今の陽翔くんよね?

 どうして……。

 うちの会社に入職……?

 何が起こったのか分からず、千夏はフリーズすることしか出来なかった。

 そんな千夏の横では、愛が面白い物でも見つけた時のように笑っていた。







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