ふんわり王子と甘い恋♡
「あいつら、帰ったん、か、?」
「、…」
誰も……いない。
ヨッコが玄関で待ってるかもって思ったのに、ガクバケのみんなは誰もいない。
帰、った?
「ななちゃん、歩き、だよね、?」
「、ハイ」
久しぶりに……名前を呼ばれた。
不自然に、呼ばれることのなかった名前。
フワリくんの口から聞こえる『ななちゃん』は……どうしてこんなにきゅんってするんだろう。
「暗い、し……一緒に、帰、る、?」
「、…」
「……い、や?」
「…、」
「でも、……あぶない、し」
「、…」
「ダメ、だよ、……危ねぇ、から。」
なにも。
私はまだなにも答えてないのに……フワリくんはもう勝手に、私に断られたと思ってる。
「俺、チャリ、だから、」
「……」
「勘違い、は……しない、から、」
勘違いって……なに、を。
「……ちょっと我慢してくれれば、すぐ、だから。」
「……」
我慢て……なにを?
フワリくんの中では、なにかのストーリーが出来上がっているみたい。
だけどそのストーリーは、私にはさっぱりわからない。