白の悪魔と黒の天使
麗華の言葉に、黒瀬は大きなため息をつくと、麗華をまじまじと見つめた。

…麗華は萎縮する。

一体今度は何を言われるんだろう?

いたたまれなくて、麗華は視線を逸らした。
その瞬間。

麗華は頭上に温かい大きな手が置かれ、思わず黒瀬を見る。

すると、くしゃくしゃと頭を撫でられた。

「ぇ、わっ。ちょっ」

手が離れると、案の定髪はボサボサ。

麗華はそそくさと髪を直しながら、黒瀬に言う。

「黒瀬さん、髪がぐしゃぐしゃじゃないですか?」

その言葉に、黒瀬が少し口角を上げた。

麗華は驚いて手が止まる。

黒瀬はこんなにも優しい笑顔を作れるんだ。

「…何かあれば、力になるから」

それだけ言い残すと、黒瀬は駅方面に向かって歩き出した。

麗華はしばらくその場から動けずに居たが、ふと、自分で自分の言動に驚いた。

男は苦手だ。イケメンという人種は特に。

それなのに、黒瀬は何故か大丈夫だった。
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