フヘンテキロマネスク
「……うん。誰かを好きになることがこわくて」
「こわい?」
「いつかは終わりがくるんじゃないかって、こわくなる。日菜はそう思ったりしたことない?」
「あるよ。今の彼氏と付き合っててすごい幸せな瞬間に、いつまでこの幸せは続くのかなって思ったことある。元彼には思ったことなかったけど」
「…そっか、やっぱりそういうものだよね」
そんな面倒なことを考えてるのは私だけじゃないんだって確認して、すこし安心した。でも、それならどうして、って疑問が新たに湧いてくる。
「こわくなっても、別れようとは思わないの?」
「え?ならないよ。逆になんで?」
「だって、想いとか思い出が増えれば増えるほど、別れたとき辛いでしょ?」
「まあ、確かにそれはあるかもだけど。でも絶対に終わるとも限らないじゃん。それに、人とか別れ方にもよると思うけど、終わりを恐れるくらい好きだったんなら後悔はしないんじゃないかなって思う」
「後悔?」
「好きにならなきゃよかったっていう後悔」
―――ああ、そっか、と。日菜の言葉が胸にストンと落ちた。