フヘンテキロマネスク
「……なんで、鈴本くんがいるの?」
今まで、私鈴本くんの前でどうやって話してたっけ、って思うくらい、声がたどたどしくて情けない。
「翔さんに買い出しパシられてたから」
「そ、っか。じゃあ早く行かないとだめだね。助けてくれてありがとう」
そう言って手を振るけど、鈴本くんは動こうとしない。不思議に思って見つめれば、はあ、と溜息を吐かれる。
「真咲に避けられてるのはわかってるけど、それでもさっきの見て置いて行くわけないじゃん。それに買い出し急ぎのやつじゃないから」
「え、でも私大丈夫だよ?」
「俺が心配過ぎて大丈夫じゃない。真咲が得体のしれない男に声かけられてるとこ想像しただけで胃が痛くなる。っていうかもう痛い」
なにそれ、と思いながらも、やけに神妙な声を出すから、条件反射みたいなもので「大丈夫?」と聞けば、鈴本くんは首を振る。
その首を振る仕草がしょげてる犬みたいに見えて、可愛いと思ってしまった。