フヘンテキロマネスク
「林くん、貸して。私がやるよ」


さすがに怪我人をそのまま放っておくのもどうかと思って、林くんの手から絆創膏を受け取る。そして患部に絆創膏のガーゼの部分がくるように、そっと慎重に貼った。


「……来栖さんって、まつ毛長いね」

「え?」



貼り終わったと同時、そんな声が落ちてきて視線を上げる。

そうすれば、どこかぼうっとした目で私を見つめる林くんと目が合って。



「……俺さ、本当は同じクラスなったときから可愛い人だなって思ってたんだけど、なんか今のでさらにきたわ」

「え……?」

「ねえ、今度絆創膏のお礼させてよ」



断られるとは1ミリたりとも思ってないような自信のある顔で、林くんが私を見つめる。


……結構学年では知られてると思ってたけど、もしかして私が渚と付き合ってること知らないのかな。


それとも知っててそんなの関係ないと思ってるのか、わからないけど、はっきり言おうと口を開いたそのとき――――、



「ごめんね、この可愛い人、俺の彼女だから」



その言葉とともに、覆い隠すように背中から抱きしめられた。
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