フヘンテキロマネスク

「真咲、」



名前を呼ぶ、たったそれだけでいつも緊張してることだってどうせ知らないんだろうな。ダサいから一生知らなくていいけど。



「おつかれ鈴本くん。こんなとこにいたんだね」

「んー。ちょっと休憩。真咲はこんなとこにいていいの?」

「うん。鈴本くん探しにきたから」



……あー、やばい。なんで俺ってこんな単純なんだろう。一緒に帰るときとか話すときはいつも俺が真咲のとこまで行って、真咲から俺のとこに来てくれることなんてなかったから、こんなことにすら浮かれてしまう。

その一方で、今の自分がどれだけ情けないかもわかってるから、嬉しいのにどこか微妙な感じ。



「……なんで探してたの?」


おそるおそる、けれど極めて平然を装って。



「なんでって、保健室で話してたじゃん。頼みがあるとかなんとか」

「え、でも俺負けたけど」

「それはチームとしてでしょ?シュート決めた数負けてなかったよ」

「でも勝ってもなかったよ」


チームとしては負けて、遥輝個人とは引き分けっていうなんとも面白みのない結果。だから真咲に合わせる顔なかったんだ。こうやって探してきてくれたのは嬉しかったけど。
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