That's because I love you.
「…なるほどね…一目惚れじゃなくて、ずっと好きだったんだ。凄い偶然の再会だったんだね、だからあんなに慌てふためいてたのか…。…で?御木本サンはまりあを覚えてたの?」
「…んーん。覚えてないみたいだった…。」
「まぁ7年も前のことじゃね…仕方ないか。しかしまぁ、それから一度も会えなかったっつーのに、ずっと好きでい続けるとか…。」
「お、重いよね、私…。自覚はあるの…っ。」
「…まぁちょっとね。あの人にはそれ、言わない方がいいかも…酷い言葉が返って来そうだし。」
「うん…そうする。…華ちゃん。御木本さん、今は…その、…彼女…。」
「…今は居ないみたいだよ。それ訊いて来るってことは、私の話聞いた後でも気持ちは変わってない?」
「…私のためを思って話してくれたのに、ごめんね…。…諦められそうになくて…。」
「…そっか…。」

まりあの中の明広への想いは、華の想像より遥かに巨大なものだった。
ここでまりあを止めるのは無理と悟った華は、彼女のその想いを尊重し、大人しく観念することにした。

「…うん。あんたの愛の重さ…いや大きさは、ひしひしと伝わってくるよ。事情が事情だし、無理に諦めろとは言えないかな…。でもあの人が相手にするの、男慣れしてる女だけだって聞くよ。くれぐれも無理しないで、丁度明日から週末だしさ、ゆっくり考えてみなよ。」
「…うん。ごめんね…。華ちゃん、本当にありがとう…っ。」
「いいってことよ!まりあのひと昔前のドラマの様な話、聞いてて面白かったし~!」
「む、むぅ~…っ!ひと昔前ってなぁに~っ!」

けらけらと笑う華に、まりあもつられて微笑む。

(…華ちゃん…ありがとう。この大学での初めてのお友達…華ちゃんとお友達になれて、本当によかった…。)


< 10 / 165 >

この作品をシェア

pagetop