That's because I love you.
「あの人…御木本サン、男女問わず誰に対しても無関心で冷酷で、性格凄い悪いよ。それでもあの容姿だし女にはモテて、あの人"遊びで良いなら付き合ってもいい"とか言って、来る者拒まずで女とっかえひっかえしてた。…一人の女と一ヶ月続けば良い方だったよ。"浮気も悪気なくやってのける最低最悪の男だ"って、あの人に泣かされた先輩が喚いてた…。」
「………………。」
「…大学でも全然変わってなさそうだったよ。私噂話とか敏感だし、入学早々女ともめてる所見掛けたりもしてさ…。…純粋なまりあにはさ、どう考えても合わないよ。まりあが苦しむ姿なんか見たくないし、この大学には御木本サンより誠実でまともな男が沢山居る!やめときな…、ね…?」
「………っ……。」

まりあはうつむき、膝の上で両手をぎゅっと握る。

「……御木本さん…彼女居たんだ…。」
「…え?」

まりあがぽつりと呟いた言葉は、華の想像の範疇外の内容だった。
華が思わずうつむくまりあの表情を覗き込むと、彼女はつらそうに顔を歪めていた。

(……当たり前だよ…あんなにかっこよくて、女の人にモテない訳ない…。)

彼の酷い女性関係の話も勿論驚いたが、まりあにとって一番ショックだったのは、ずっと好きだった彼が沢山の女性と付き合ってきたという事実だった。
彼の隣に見知らぬ女性の姿ーーーそれを想像すると、胸がズキッと激しく痛む。

「…あのね。御木本さんとは、今日初めて会ったんじゃないの…。」
「え…?」
「聞いてくれるかな…ちょっと長くなっちゃうんだけど…。」
「…何でも話して。聞きたい…!」

それからまりあは華に、7年前彼と出会い彼に救われたこと、その日からずっと彼を想い続けて来たことを話した。
華は時折ジュースを飲みつつ、「うんうん」と頷きながら真剣に話を聞いてくれた。

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