That's because I love you.
(…僕が仕掛けると照れまくるくせに、自分は自覚無しに言いまくるんだもんな…。)

明広はテレビ画面を見つめながら少し困った様に眉根を寄せていたが、ふと彼女に踏み込んで訊ねたいことを思い付き、隣のまりあの方へ顔を半分程向けた。

「…加賀見は?イケメンで優しいし人気じゃん。金持ちだし。」
「…ふふ…っ。」

自分の言葉を聞いたまりあが小さく吹き出して笑い出したので、明広は少々不満そうに呟く。

「…何で笑うの…。」
「だ、だって…。明広さん、加賀見くんのことすごく気にするんだなぁって思って…。」
「…もう気にしてないよ別に。ちょっと気になっただけだって。…で?まりあ、どうなのー?」
「…ふふふふ…っ。」
「聞いてるー?」

何故か嬉しそうに笑い続けているまりあの肩を片手で掴み、ゆさゆさと軽く揺らす。
すると必死に笑いを抑えたまりあが、自分をそっと見上げて来た。

「…加賀見くんは大事なお友達です。それ以上の気持ちはないんです。…私がかっこいいなぁって思ってドキドキするのは、明広さんだけなんです…っ。」
「…………。」

まりあの言葉と幸せそうな微笑みに、明広の心臓はドキッと巨大な音を立てる。
驚く程ときめいてしまっている自分が恥ずかしくなった明広は、彼女にそれを悟られない様少し顔を伏せ、余裕そうに見える様に軽い笑みを必死で作った。

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