That's because I love you.
「…私…おうちで心の準備、しっかりしてきたんです…。それに今日御木本さんと一日遊べて、御木本さんのこと大好きな気持ち、もっと大きくなったから。…だから、大丈夫です…。」
「………!」

まりあから許しを出された明広は、驚く程興奮してしまっている自分を何とか鎮めるため、彼女を抱き締めたまま密かにゆっくりと一つ息を吐く。
終わると腕を緩め、彼女と目を合わせる。

「…ありがとう。まりあ。」

微笑んで礼を言うと、まりあは例の如くわかりやすく照れまくり、うつむいて「は…は、はい」とどもりながら返事をする。
思わず吹き出してしまった後、切り出す。

「…ホテルに行くんでいい?何か入り用な物あったら部屋から取って来なよ。」
「…はい…っ。すぐ戻ります…!」

まりあがアパートに入っていくと、明広はすぐさまスマホをジーンズのポケットから取り出す。

(…元カノ達とは適当な安いホテル行ってたけど…。まりあ初めてだし、綺麗な所連れて行ってやりたいよな…。)

検索していると、お洒落な内装で広く、清潔感に溢れたラブホテルの部屋が目に止まった。

(…料金高めだけど、ここにするか。…はー…。まさか自分から女を誘う日が来るとは…しかも、今日の朝言ったこと撤回してまで…。そんなに溜まってたのか僕は…?)

今さらになって少し恥ずかしくなってきてしまったが、それでも胸は期待と興奮でドキドキと高鳴っていた。
数分後戻ってきたまりあと、来た道を戻りまた駅に向けて歩き出す。

「何取って来たの?」
「えと…化粧品とか、お菓子…!」
「お菓子…。気が抜けるな、全く。」
「ふふ…っ。期間限定味のマァム、御木本さんもよかったら食べてくださいね~。」
「まりあ、何か余裕じゃん。ちょっと安心した。」

急に誘ったにも関わらず笑顔でいてくれるまりあに愛おしさを覚えた明広は、思わず彼女の小さな手を握り、歩いていたのだった。



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