That's because I love you.
「…話してくれてありがとう。あの時の子かなってずっと気になってたんだよ。…でもそんな偶然ある訳ないと思ってさ、まりあに訊いて違ってたら何か恥ずかしいし、僕からは訊けなかった。」
「……!」

明広が7年前の出会いを覚えていてくれたこと、そして自分の長年の想いを受け止めてくれたことで、まりあの胸は安心と嬉しさでいっぱいになる。
まりあは彼への恋心と敬愛心に満ちた、輝く様な満面の笑顔を見せた。

「…あの時、本当にありがとう。"お兄さん"…っ!」
「…ふっ。その呼び方懐かし…。」
「ふふふ…っ。」

二人して笑い合った後、明広がまりあをまた抱き締めると、まりあも彼の背中に両手を回してぎゅぅっとしがみつく。
明広はぬくぬくと暖かい小さな体を腕の中に収めながら、そっと目を瞑った。

(……覚えてるに決まってる。…あの時の子は僕の、初恋の女の子だったんだから…。)



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