俺の言うとおりにしてください、お嬢様。




「っ~~…!!」



えっ、気のせい…?
いや……気のせいじゃないよね…?

今この人…わたしのお尻さわったよね……?


ハヤセ、ハヤセっ、

わたし今、お尻さわられちゃったような気がするんだけど…!



「ん~?急に大人しくなっちゃったねぇ?」


「っ、えっ、あのっ、」


「もしかして……気持ちいいのかい?」



耳元に寄った唇から、不快極まりないアルコールの匂いがもわっと広がった。

この場所にはお酒は揃えられていないから、きっとここに来る前に呑んでいたのだろう。


すごく酔ってる、この人…危ないかもしれない。


けれど今日は執事は表舞台には出てはいけないという暗黙のルールがあって。



“お逃げください、エマお嬢様”



ハヤセはそう言ってる。

ずっと視線で助けを呼んでいたから、本当なら彼は今にも飛び出してきたいんだろうけど…。


うん、わたしだって逃げたい…。

けどこーいうときに限って身体が動いてくれないの……っ。



「うわわわわっ!やっ、やめてください、」


「可愛いねぇ、そんなに怖がることはないよ。僕は君のような子が大好物でね」



< 180 / 340 >

この作品をシェア

pagetop