俺の言うとおりにしてください、お嬢様。




だい…こうぶつ……。

大好物……。


その言い方の時点でお察しだ、だめだよこの人ぜったいヤバい人だ…。



「ヒヒッ」



ほら、それだけで普通じゃないって分かるもん…!

だからわたしに声をかけてきた物好きさんなんだ、きっと。



「ハヤセっ、はやせ、」


「はやせ…?まさかもうフィアンセがいるのかい?」


「───俺だけど」


「っ…!!」



そしてとうとう奴が登場してしまった……。

背後から反響した声は、わたしの身体中に込み上げてくる恐怖を余計に足してくるものだ。


ちょっと前から「早乙女様」って女子生徒の甘い声が遠くから聞こえてたから、まさかとは思ってたけど……。



「こいつ俺の嫁だから。汚い手で触るのやめてくれよ、おっさん」


「なっ…!僕は北川商事の長男だぞ…!!君は誰だ…!!」


「そんな一々聞いたこともない社名に名乗るほど安くないんだよ俺の名前って」



相変わらずの憎たらしい奴だ…。

その減らず口というか挑発スキルというか、それどうにかならないの。


けどなんか……今回だけはこいつに助けられてる……ぽい…?



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