俺の言うとおりにしてください、お嬢様。




「な、なんでここにいるの…?」


「なんでって。逆になんで?」



…確かにそう言われると答えられない。

この人は毎年来てるって理沙も言ってたし、この会場に来ちゃいけない人でもなくて。

むしろ来て当たり前の人だ。



「…へぇ、」


「な、なに……?」



ずいっと顔を近づけてくる。

わたしの頭からつま先までをじっくりチェックして品定めするかのように。


思わず退いてしまいたくなって逃げたくなって後退ろうとすれば、背中に回された手。



「や、やめてっ」


「うしろテーブル。グラス乗ってるから危ないだろ」


「わっ、…ほんとだ」



割っちゃうところだった…。

まさか今日にして2度も助けられちゃうなんて、こいつに。


そして再びじっと見つめてくる金髪。

今度はどんなひどい言葉を言われるんだろう…って、構えていれば。



「…やっぱ俺の目に狂いはなかったってことか」



え、なにが…?

それにどうしてわたし、こいつと普通に喋っちゃってるの。


お高そうなスーツ姿だし、スタイル良いし無駄に整ってるし、なんか悔しい…。



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