俺の言うとおりにしてください、お嬢様。
「悪いね、また迷惑かけちゃって。俺の嫁が」
「わぁ…っ!」
ガシッと、半ば強引にも背後から腕が回された。
何度も何度も「俺の嫁」って言ってくることすらも怖い。
わたしにとってこいつはトラウマそのもの。だってわたしを泣かせた第1号だもん。
「ほら行くよ。これ以上動き回るようなら首輪でも───…」
そんな言葉が止まった先、わたしの首筋を見つめた早乙女 燐。
何かを発見したのか、瞬く間に雰囲気が重くなって、次に見つめた先にはハヤセ。
「これ、なに?」
「…何とは、なんのことでしょうか」
「キスマーク」
きす、まーく……?
きすまーくって、なに……?
それに早乙女、どこか怒ってる…?
前はどんなにハヤセに詰め寄られても笑ってたのに…。
対するハヤセは表情ひとつ変えずケロっと向かい合っていて。
「なに、もうヤッたってこと?」
「…でなければそんな跡は付きません」
ガッ───!!!
びっくりしすぎて声が出なくて。
状況もすぐに読み取れなくて。
ただ早乙女 燐が初めて見せる形相をしながら、ハヤセの胸ぐらを掴んでいる今。