俺の言うとおりにしてください、お嬢様。




「あのさ、」



今度はピタリと止まった。

そこはパーティー会場から出た先にある広々としたベランダ。


中から聞こえるきらびやかな音楽と話し声を背に、夜風に涼みたい人が気に入っちゃうような場所。



「どうしたら泣いてくれんの?」


「……は?」


「泣けよ、俺のために」



なに言ってるの……?

ぜんぜん理解できないし、そもそも日本語がどうこうの問題じゃない。


わたしは確かに勉強もできなくてバカだけど、目の前の男のほうがバカってことがよーく分かる。



「無理やりキスしていい?」


「えっ、やだっ!」


「じゃあ犯していい?そしたら泣くだろ確実に」


「そ、そんなのしたら警察呼ぶから…!」



なんでそんなに泣かせたいの…?

どうしてそんなにひどいの……?


あなたにはいっぱい泣かされてる。

回数だと1回だけど、気持ち面では100回分くらいだ。



「あー、じゃあこれか」


「え───…、」



ブチッ!!───と。


一瞬、なにが起きたのか分からなかった。

呆然と立ちすくむことしかできなくて、ただ伸びてきた手が何かを掴んで引っ張った。



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