俺の言うとおりにしてください、お嬢様。
嬉しいのに、嬉しくない。
だってわたしはもう退学でもいいかなぁって思っちゃってるから。
お姉ちゃんが戻ったときは確実にわたしがスタ女にいる意味は無くなるし、生徒にも早く出ていけって言われちゃった。
そのときが早く来ればいいなぁって、ちょっとだけ思っちゃったんだよ。
「ハヤセ、わたし、周りのことばかりじゃない。けっこう自分のことで動いてるよ!」
「…そんなはずありません」
「ううん、だってファミレス行ってくれたでしょ?あれってすごいわがままだったもんっ」
結局あそこでも周りに笑われちゃって、変な目で見られて。
だけど救ってくれたのはあなただ。
ファミレスだけじゃない、毎日の授業だってそう。
周りのことばかりなのはハヤセだよ。
わたしのことばかり考えて優しくしてくれて、上手く丁寧に扱ってくれる。
こんなお嬢様の執事を辞めずに過ごしてくれて、そんなの夢みたいだもん。
「───…エマお嬢様、」
暗い部屋、雨の音、微かな月が照らす霧がかった光の中で。
わたしの前、片足を地面につけるようにして跪いた執事。