俺の言うとおりにしてください、お嬢様。
確かに執事の中では見習いから上がったばかりで、ランクではDランクだと言っていたけれど。
でも今もこうしてちゃんと説明してくれる。
ハニーショコラが入ったオシャレな瓶がスッと、わたしの目の前に置かれた。
「自分で塗ってください」とのことだ。
「…エマお嬢様、短い間でしたがお世話になりました」
「うん。…元気でね」
「はい、お嬢様も」
ホッとしているような、スッキリしているような顔だ。
それは樋口もわたしも両方。
せめて食べ終わるまでは一緒にいてくれてもいいのに───とは、言えず。
気づけばしんと静まり返ってしまったリビングにひとり。
「…わたし執事なんかいらないもん」
別にこのままひとりでもいい。
朝ごはんだって自分で作ってもいいし、コックさんの元へ自ら取りに向かうことだってできる。
固定の執事がいない場合、1日1日ローテーションで代わりが来ることになっていて。
そんな日々が今日から訪れそうだ。
クラスメイトにはまた笑われちゃうかもだけど…。