俺の言うとおりにしてください、お嬢様。
「どうぞ」
「わ、ありがとう…」
さすがすぎる…。
抜かりなく無駄がない動きだ。
パクっと遠慮がちに齧ってみれば、その違いまでもがすぐに分かった。
「おいしいっ!自分で塗ったときと全然ちがう…!えっ、なんで!?」
「俺の技です」
「Sランク執事だと味まで変わるの!?」
「さぁどうでしょうね?」
もしかしてこの人が今日1日の代理になってくれる人…?
それこそクラスメイトから大ブーイングを受けそうだ。
でも確か誰の執事になるのか決まってるんだよね…?
「あ、今日は桃だ」
わたしが食べている間、彼は傍らにじっと立っていた。
それは未だに誰だとしても慣れないけど、嫌な空気感じゃなくて逆に落ち着くのは初めてだ。
そんな今日のデザートは桃。
当たり前のように腕を伸ばせば、驚いた顔をされてしまった。
「なにをなさっているんですかエマお嬢様」
「え…?なにって、桃を食べたいなって…」
「それは分かっておりますが、どうしてあなたが桃を取ろうとしているのですか?」
え、ごめん全然わからない。