俺の言うとおりにしてください、お嬢様。
「うわっ、わぁ、うわわわわわっ」
「エマお嬢様?」
「ま、まだかなっ!?別に結び方なんか適当でいいのに…!!」
「…いえ、そういうわけにはいきません」
だめっ、こんなのぜったいムリぃぃぃっ!
近すぎる…、えっ、近いよね……!?
どうしてこんなに近いの……!?
ジャケットから覗く首筋とか、髪の隙間から覗く耳とか…。
だめだめっ!ドキドキするっ!
なんかもうすっごいドキドキする……!
そしてようやくスッと離れた身体、わたしの顔を見てくすっと笑みが落とされた。
「これで制服にも飛び散りませんよ」
「えっ…、わぁ確かに!ありがとうっ!」
そうなのだ、わたしはいつも豪快に食べてしまって制服に飛んじゃうから。
まるでそれを最初から分かっていたかのように微笑んでくれる。
やっぱり首席のエリート執事さんは違う。
「あっ!じゃあ一緒に食べようよ!」
「…駄目です。執事はお嬢様に生活シーンを見せてはならないものですから」
「えぇ~。だって2人で食べたほうがぜったい美味しいもん」
この台詞は実は樋口にも言っていて。
そんなわたしはたぶん、試しているんだと思う。
彼も今までと同じかどうかを。