俺の言うとおりにしてください、お嬢様。
「わぁ…!可愛いっ」
「気に入ってもらえましたか?」
「うんっ!すごい!ありがとうっ!!」
わたしのミディアムショートの黒髪は、丁寧に編み込むように片側サイドを三つ編み。
こんなこと樋口はしようともしてくれなかったのに…。
お礼に少し髪を触ってもよろしいでしょうか、と提案してきたのはこの人だった。
そして大人しく言うとおりに座って気づけば今。
「喜んでもらえて何よりです」
「明日もやって───…あ、ううん、明日はまた別の人が来るね」
明日もやって欲しかったけど、こればかりは仕方ない。
この人はわたしなんかじゃなくて成績優秀な3年生とか、そーいう人の執事がお似合いだ。
ちょっとだけ残念だなぁと思っていると、「エマお嬢様」と名前を呼ばれる。
「ご挨拶が遅れてしまい申し訳ございません」
リビングのソファーに座ったわたしに向かい合うよう目の前に立ったSランクさん。
右手を心臓の位置、左手を背中に当て、浅く丁寧に頭を下げてくる。
「本日よりエマお嬢様の執事となりました。ハヤセ、と申します」