ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜
「あそこに黒羽くんといるのが、さっき話してた弟のノエルくん。ベビーフェイスで可愛いでしょ?」

 二ヒヒと歯を剥き出して、優希ちゃんがこっそりと教えてくれる。

 ルキくんの弟。おかっぱみたいな金髪に、くりんとした色素の薄いの瞳。キュッと上がった唇が愛らしくて、思わず見入ってしまう。

 双子ってもっと似てるイメージがあったけど、全く似てないなぁ。
 そんなことを考えていると、ノエルくんと目が触れ合った。あっ、と視線を反らす。

 ずっと見てたの、気付かれたかな。人の顔をジロジロ見るなんて、失礼だったよね。

 早くランチを取って来ちゃおう、と歩き出すとルキたちの瞳も動く。こちらを追うように、鋭い視線が前へと進む。

 Bランチ定食を頼み、テーブルへ戻った。優希ちゃんと話をしている時も、視線が気になって仕方がない。

 そんなにずっと見ないでよ……。

「樹里ちゃんもさ、選択授業は英語にしなね〜。影楼先生、最高なんだから」
「うん、楽しみ」
「それでさぁ」

 ニマニマした顔付きから、優希ちゃんは真剣な目へと変えて。

「もしかして……樹里ちゃんって、アレ知らない?」
「アレって?」

 頭の中を一周してみるけど、全く検討がつかない。

「噂なんだけど、白川村には昔からの伝え話があるんだ。伝説……みたいなもんかな」

 声のトーンを落として、優希ちゃんが顔を近付ける。
 そんな話は初耳だ。それにしても、伝説って……なに?!
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