ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜
「オレ、イリヤ。覚えてない?」
思い出した。この前、森の前で倒れていたイリヤくんだ!
大怪我をしていて、救急車を呼ぶ前にいなくなってしまった……。
「足、もう大丈夫なの?」
「おかげさまで、この通り」
すそのズボンをまくし上げるけど、傷跡も見つからない。あれほどひどい傷だったのに、驚異の回復力だ。とても人間とは思えない。
ズボンを下ろしたイリヤくんは、ポケットをごそごそして何かを取り出す。
「キミにお礼がしたくて。手、出して?」
「……こう?」
言われた通りに手の平を向けると、小さなお守りほどの白い袋が乗っけられた。
「魔除け……みたいなものかな。最近、何かと物騒だろ?」
「……ありがとう」
他にも何か言いたそうな顔をしていたけど、イリヤくんは口を閉じて帰ろうとした。
待って! とっさに呼び止めて質問をする。気になっていることがあったから。
「家はこの辺りなの? もしかして、同じ学校だったりする?」
「いや、違う。あの森より、もっと奥に住んでる」
やっぱり、イリヤくんは白川村の人じゃない。
だとしたら、あの怪我は、よそ者がって言う伝説が原因なのかもしれない。
「この村には近付かない方がいいかも。変な言い伝えがあるみたいだから」
一瞬、唇がゆがんだあとにイリヤくんがボソッと。
「もしかして、伝説のこと?」
知ってるんだ。優希ちゃんの言う通り、ほんとに有名な話なのかな。
「イリヤくんも、気を付け……」
「あれはデタラメだ!」
さっきまでとは違う荒ぶった声色。怒っているようだけど、どこか悲しそうな目にも見える。
思い出した。この前、森の前で倒れていたイリヤくんだ!
大怪我をしていて、救急車を呼ぶ前にいなくなってしまった……。
「足、もう大丈夫なの?」
「おかげさまで、この通り」
すそのズボンをまくし上げるけど、傷跡も見つからない。あれほどひどい傷だったのに、驚異の回復力だ。とても人間とは思えない。
ズボンを下ろしたイリヤくんは、ポケットをごそごそして何かを取り出す。
「キミにお礼がしたくて。手、出して?」
「……こう?」
言われた通りに手の平を向けると、小さなお守りほどの白い袋が乗っけられた。
「魔除け……みたいなものかな。最近、何かと物騒だろ?」
「……ありがとう」
他にも何か言いたそうな顔をしていたけど、イリヤくんは口を閉じて帰ろうとした。
待って! とっさに呼び止めて質問をする。気になっていることがあったから。
「家はこの辺りなの? もしかして、同じ学校だったりする?」
「いや、違う。あの森より、もっと奥に住んでる」
やっぱり、イリヤくんは白川村の人じゃない。
だとしたら、あの怪我は、よそ者がって言う伝説が原因なのかもしれない。
「この村には近付かない方がいいかも。変な言い伝えがあるみたいだから」
一瞬、唇がゆがんだあとにイリヤくんがボソッと。
「もしかして、伝説のこと?」
知ってるんだ。優希ちゃんの言う通り、ほんとに有名な話なのかな。
「イリヤくんも、気を付け……」
「あれはデタラメだ!」
さっきまでとは違う荒ぶった声色。怒っているようだけど、どこか悲しそうな目にも見える。