ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜
 パラムシア図書室は、赤と茶色がベースになっているオシャレなところ。

 天使と悪魔のついた両扉を開けて、左右に分かれて伸びている大きな階段を上がる。
 赤いじゅうたんは高級感があって、まるで映画で見るようなパーティー会場みたい。

 ちらほらと行き交う人を見て、緊張が増す。みんな吸血鬼なんだよね?

 そっとルキくんの腕を掴むと、身を寄せる。

 ーー今、聞こえてる?

 戸惑うことばかりだし、まだルキくんのこと何も知らないけど、もっと一緒にいたい。もっと知りたい。

 恥ずかしくて言葉に出来ないことでも、心の声でなら言える。思い切って告白したつもりだったのに、ルキくんの反応はない。


 ーーねえ、聞いてる?

 問いかけても、表情は変わらず前を向いて歩いている。

 ハムスターみたいに頬を膨らませて、腕を掴んでいた手を離す。

 勝手なときは読んでくれないんだから。

 階段ですれ違う吸血鬼たちが、ちらちらとこちらへ視線を送っている。
 こはく色に輝く目、青白い顔。血色の良い唇をキュッと上げてにこやかに見ていく。

 飛び交う視線が自分へ向いているような気がして、少し不安になる。
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