ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜
 人間だからって、急に襲ったりしないよね?

 心配の声を聞かれたのか、ぐっと手を引かれてルキくんの近くに引き寄せられた。

「ちゃんと俺にひっついてて。それと、あまり奴らと目を合わせるな」

 胸の奥がキュンと鳴って、ドキドキが止まらなくなる。

 どうして、人間の私を守ってくれるんだろう。気にするだけ無駄だと分かっているけど、理由を知りたくなってしまう。

 階段を上り終えたところの部屋には、天井までぎっしりと本棚が並んでいて、何人かの利用者が読書をしていた。

 周りを気にしつつ、ルキくんの肩に隠れながら進んでいく。

 長い読書スペースを通り抜け、奥のコーナーへ入った。そうとう年月の経った本なのか、背表紙の文字が消えていたり、はがれ落ちているものもある。

 そのなかで、『吸血鬼外伝』というタイトルが目に入ったので、なんとなく手を伸ばす。

 ラベルに触れる寸前のとこで、静電気より強いバチッという電気が流れた。

「ーー痛ッ!」
 反射的に、ルキくんを掴む手に力が入る。

「ここの本には結界が張られていて、上流階級(じょうりゅうかいきゅう)の吸血鬼以外は手が出せないようになってる」

 上流階級の吸血鬼? 吸血鬼の世界にも、上下関係があるんだ。
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