置き去りにされた花嫁をこの手で幸せに
「沖縄料理なんだけどさ、ライブをやってるところがあるらしいんだ。それを見ながらたべるところにいってもいいか?俺あまり沖縄の歌知らないし、ホテルでライブを企画したらどうかな、とも思ってさ」

「いいと思う。沖縄の民謡やエイサーを見る機会があれば楽しいかもしれないね」

加賀美くんは頷くとスマホで検索しながら店までの道を調べ始めた。
歩いて10分のところに店はあったが大盛況で外にまで観光客が並んでいた。

「すごいね。やっぱりこういうお店にみんな行きたいと思うってことだね」

私はこっそりと耳打ちした。

「そうだな。石垣島にきたって感じたいからかな」

私は頷いた。
店は大盛況だったが私たちは2人なのでカウンター席に空きがありそれほど待たずに案内された。
テーブル席は家族連れが多く予約してきている人が多いみたい。

沖縄料理がたくさんメニューに並んでおり何を頼んだらいいのか悩む。

「槇村は沖縄に来たことあるんだよな?本島だけ?」

「うん。3回だけ。高校の修学旅行が初めて。飛行機もこの時が初めてでさ。あの頃は何もかもが楽しかったなぁ」

「俺は高校はカナダだったな」

「なんで盛り下がること言うのよ、もう」

「ははは、沖縄は俺も3回だから同じくらいだな。適当に頼んでみていいか?」

「うん」

手を上げ店員を呼ぶといつものように愛想よく「お姉さんのオススメはなに?」なんて聞いている。

加賀美くんに他意はなくともこの顔で言われたらちょっとときめいてしまうだろう。
頬を赤らめた彼女は私をみて目を逸らした。

いくつかオススメされた料理とオリオンビールを注文し一息ついた。

ビールはすぐに運ばれグラスを合わせた。
軽いのどごしで苦味が少なく泡がきめ細かい。
暑い今日はごくごくと飲めてしまいそう。
次々と料理が運ばれてくるが見慣れないものばかり。
海鮮サラダから始まり、グルクンの唐揚げ、ざるもずく、ミミガーのポン酢和え、石垣牛の炙り握り、そーめんチャンプルーとどんどんテーブルに並ぶ。

こんなに頼んじゃったの?と不安になるが私も意外と食べるのが好き。ましてや加賀美くんの前だと気を使うこともなくどんどんと食べられるからこのくらいなら2人で食べ切れてしまうかも。そもそも加賀美くんもこの細い体のどこに入るんだろうというくらいによく食べる。太らないのが不思議なくらい。
< 20 / 84 >

この作品をシェア

pagetop